Blog:問題を「見える化」する心理アセスメント

皆さん、自分のことをよく理解していますか?自分のことだから自分が一番、よーくわかっているという人もいらっしゃるかもしれません。でも多くの人は、自分が苦しいことや悩んだり困っているのはもちろん分かるけれども、何がどう辛いのか、何をどうしたら問題が改善されるのか分からないのではないでしょうか。例えば「急に身体が動かなくなって、学校や会社に行けなくなってしまった」、「どんな人と交際しても、いつも同じようなパターンのトラブルを起こしてしまう」、「人から指示や注意を受けても、なかなかその通りにできない」…といった悩みを抱えている人がいるとします。こうした問題の解決のためにはまず原因を明らかにするのですが、悩む人達の中には、原因を「自分が悪いからだ」とか「相手(環境)がいけないんだ」といったようにざっくりと考え、その結果自分や相手を責めてしまう人もいます。この場合、その人は落ち込みやイライラを強め、問題の解決になるどころか、より辛くなってしまいます。問題の原因を理解するということは、「誰それが悪いからだ」と悪者を探し出すことが目的ではありません。そして原因は1つだけではありません。
この悩みがくり返されるのは一体どういうわけなんだろうと、多方向から問題を見る視点をもって細やかに見ていく必要があります。

「心理アセスメント(心理査定ともいいます)」という言葉があります。
面接や観察、心理検査などの客観的な手法を用いて、その人に困りごとをもたらしている原因や問題点を明らかにして、その問題を解決するためにはどうしたらよいかをわかりやすい形で見える化する過程のことをいいます。もちろんカウンセリング内においてもアセスメントは常になされています。カウンセラーはクライアントさんのお話を聞きながら同時に問題をアセスメントし、こしらえた仮説を時にクライアントさんにお伝えします。カウンセリングではそれを双方が協働で検証し、違うようであれば別の仮説をお互いでこしらえ…といったことをくり返し、問題解決につなげていくものです。この過程は人それぞれで、問題によっては長くかかってしまう場合もあります。一方心理アセスメントの手法の1つである心理検査は、その人の人となりだったりその人の問題やその原因を、より単純化して見える化させたものです。検査を受検した時の体調や環境が結果に大きく影響してしまうところはデメリットですが、カウンセリングに比べると比較的短時間で結果が出て、問題とその対策がわかりやすい形で整理されている点では非常に便利であるといえます。

ではこうした心理アセスメントによって問題を明らかにしていくことが、どのように解決に役に立っていくのでしょうか。
例えば皆さんが太りすぎてしまった時には、自分の状態をどうやって把握しますか?体脂肪が測れる体重計に乗る人もいれば、血液検査結果の中性脂肪やコレステロールの数値を見る人もいるかもしれません。このように標準体重や平均の検査数値からどれだけ隔たっているのかを確認して、食事制限や運動を始めようとしますね。そして筋トレを効果的なものにするには、鏡の前で確認しながら自分のフォームを適宜修正しつつ行うこともあるでしょう。多くの方はこうやって減量を頑張っています。

心の中で起こっている問題も同様です。太っているという問題やその原因を体重計や血液検査、鏡が教えてくれるように、心の問題には心理アセスメントが役に立ちます。心理アセスメントの結果によって、問題の原因はこういうことだったのか!と自分を少し離れたところから客観的に見つめることが出来ます。そうすると問題と、それに巻き込まれて苦悩している自分とに少し距離が出来て、少し冷静に考えられて次の対処につなげることができるようになります。また「自分には悪いところしかない」と思い込んでいたのが、深く細やかな自己理解によって自己の解像度が上がり、良い/悪いだけではない様々な知らない側面があることに気づくこともできるでしょう。

自分のことであっても、いえ、自分のことだからこそ、心の中のありようは大変見えにくいものです。心の専門家に手伝ってもらいながら、カウンセリングや心理検査で知らなかった自分と出会ってみませんか?(K)

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